栄養の基礎

アルコールの酔いを抑えるには?栄養学から見るお酒との付き合い方

アルコールの酔いを抑えるには?栄養学から見るお酒との付き合い方

「お酒を飲むとすぐ酔ってしまう」
「翌日に残りやすい」
「体への負担が心配」

そんな悩みを持つ方にぜひ知ってほしいのが、アルコールの代謝と栄養の関係です。

実は、お酒の影響を最小限に抑えるには、「どんな栄養素が不足しやすいのか」「自分の体質がどうなのか」を理解することがとても重要です。

この記事では、アルコール代謝の仕組みとともに、酔いや悪酔いを防ぐための栄養対策を、分かりやすく解説していきます。

アルコールはどうやって分解される?

まず、お酒に含まれるアルコールは、体内で次のような順序で分解されていきます。

  1. アルコール → アセトアルデヒド
    肝臓の酵素「アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)」によって分解されます。
    ※このアセトアルデヒドが、二日酔いや悪酔いの主な原因。
  2. アセトアルデヒド → 酢酸
    次に「アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)」という酵素が働き、毒性のあるアセトアルデヒドを無害な酢酸へと変えます。
  3. 酢酸 → 炭酸ガスと水
    筋肉などで代謝され、最終的には呼気や尿として体外に排出されます。

酔いやすい・酔いにくいは「体質」で決まる

「すぐ顔が赤くなる」「少量で気持ち悪くなる」という方は、ALDHの働きが弱い体質かもしれません。これは遺伝的なもので、大きく以下の3タイプに分かれます。

  • 活性型:酵素がしっかり働くタイプ
  • 低活性型:分解が遅く、酔いやすい
  • 非活性型:ほぼ分解できない

日本人の約40〜50%が「低活性型または非活性型」だと言われています。
親が「お酒に弱い体質」であれば、子どももそうである可能性が高いです。
自分のタイプを知るには、「アルコールパッチテスト」などが有効です。

アルコールは栄養素じゃない?

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お酒を飲むと不足する栄養素とは?

アルコールを分解するには、酵素を作るための材料=栄養素が必要です。
特に不足しやすいのが以下の2つ。

  1.  亜鉛(Zn)
    アルコールをアセトアルデヒドに変える「ADH酵素」の主成分は亜鉛です。年齢とともに体内の亜鉛量は減っていき、60代では20代の1/10ほどに。
    さらに高齢になると300分の1以下になることもあります。お酒をよく飲む人ほど、意識して摂るべき必須ミネラルです。
    おすすめの摂取量:1日30mg程度(食事+サプリ)
  2.  ビタミンB群(特にB6・B3)
    アセトアルデヒドを酢酸に分解する酵素反応には、「NAD⁺」という補酵素が必要です。これはビタミンB3(ナイアシン)から作られます。
    また、ビタミンB群は単独では作用しにくく、B1・B2・B6・B12など複数のビタミンをまとめて摂取することが重要です。
    おすすめは「ビタミンB50コンプレックス」のようなマルチタイプのサプリメントです。

飲酒がストレス解消になっていませんか?

最近では「お酒がストレス発散の手段になっている」という方も多く見られます。

しかし、実はお酒を飲みすぎると、脳内のセロトニン生成が低下し、気分が落ち込みやすくなります。
これは悪循環で、セロトニン不足 → ストレス → 飲酒 → さらに不足…というサイクルに。

うつ傾向のある方や、不眠に悩んでいる方は、まず「アルコールを控える」ことが大切です。
食事指導やメンタルケアに関わる方も、この視点を意識してみてください。

飲酒による「落とし穴」と対策

  • 空腹時の飲酒はNG
    → 胃や小腸で一気に吸収されてしまい、肝臓への負担が増します。
    → 食事と一緒に摂ることで吸収を穏やかにできます。
  • 「汗でアルコールを抜く」は迷信
    → 実際に汗から排出されるのはアルコールの5%未満です。
  • 胃の手術を受けた方は特に注意
    → アルコールが一気に小腸に流れ込み、悪酔いや負荷が強くなります。

お酒とうまく付き合うために

お酒を楽しむには、「体質」と「栄養」の両方を意識することが大切です。

以下のポイントを抑えて、健康的に付き合っていきましょう。

  • 自分の代謝タイプを知る(パッチテスト推奨)
  • 亜鉛・ビタミンB群を意識して補う
  • 空腹で飲まない・食事と一緒に摂る
  • 翌日に残さないよう、事前にケアする

 

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bamoblog 柔道整復師 鍼灸師
1998年生まれ 東京都出身・東京→埼玉→東京育ち 【保有資格】鍼灸師・柔道整復師 【勤務経歴】 南池袋の手技特化の整骨院で8年勤務 池袋の運動療法特化の整骨院に転職 柔道整復師、鍼灸師として延べ1万人以上の背術経験を持つ。姿勢改善と根本改善を専門とし、身体の知識を深めている

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