炭水化物は“太る原因“ではありません。
炭水化物は我々の脳と身体を動かすために欠かせない、最も効率的なエネルギー源です。
糖質制限や低炭水化物ダイエットが流行した影響もあり、
「炭水化物=太る」
「炭水化物はなるべく減らすべき」
という考えが広く浸透してしまいました。
しかし、本来炭水化物は人間の生命活動を支える重要な栄養素です。むしろ、炭水化物を極限まで制限してしまうことで、体調を崩したり代謝が落ちたりといったデメリットの方が大きくなります。
ではなぜ、炭水化物がそれほど大事なのか。
その理由を正しく理解することで、炭水化物を味方につけた健康的な食生活を送ることができます。
炭水化物は最も早くエネルギーに変わります
炭水化物は体内で「ブドウ糖(グルコース)」に分解され、血液に乗って全身に運ばれます。
特に脳はこのブドウ糖を唯一のエネルギー源として活動している臓器です。1日に必要なブドウ糖は約120gにも及び、炭水化物が不足すると脳のパフォーマンスが著しく低下します。
また筋肉も炭水化物を“グリコーゲン”という形で蓄えており、運動時にすぐ使えるエネルギーとして活用しています。脂質やタンパク質もエネルギー源になりますが、炭水化物は代謝経路がシンプルで速く、即効性があるという点で非常に優秀です。
例えば、糖質は1分子から、解糖系という代謝回路で最大38個のATP(エネルギー分子)を生成できます。
脂質は1分子からより多くのATPが作れますが、プロセスに時間がかかるため瞬発的な運動や脳活動には不向きです。
つまり炭水化物は“速く・効率よく・確実に“エネルギーを供給してくれる「即戦力」として不可欠なのです。
朝食抜くと集中力がないのも炭水化物不足が原因です。
炭水化物の重要性は日常の中にも現れています。
例えば「朝ごはんを食べないで仕事を始めたら、なんだかボーッとして頭が回らない」
といった経験はないですか?
これはまさに、ブドウ糖不足による脳のエネルギー切れ状態です。
また筋トレする人にとっても炭水化物は欠かせません。
筋肉は「筋グリコーゲン」という形で炭水化物を蓄えており、無酸素運動のような強度の高いトレーニング時にすぐ使える燃料となります。
炭水化物を制限した状態でハードなトレーニングを行うと、スタミナ切れや筋肉の分解(カタボリック)を引き起こす恐れもあるのです。
さらに、「脂肪を燃やすために糖質制限をする」というのも一見正しく聞こえますが、実はそうでもありません。脂肪を燃やす代謝経路には炭水化物由来の代謝物質が必要です。
つまり「脂肪は炭水化物の炎で燃える」のです。炭水化物を完全にカットしてしまうと、かえって脂肪が燃焼しづらくなってしまい、逆効果なのです。
極端に減らすのではなく、バランスが大切です。
炭水化物は、単なるカロリー源ではありません。脳と体を“最も効率よく動かす“エネルギー源です。人間が活動するために、最も速く、最も効率よく使える「即効性の高い燃料」です。
だからと言って、白米やパン、砂糖などをいっぱい摂れば良いわけではありません。
血糖値の急上昇を避けるためには、玄米や全粒粉、野菜など、「質の良い炭水化物」を選ぶこと。
そして、タンパク質や脂質とバランスよく組み合わせることが大切です。
「炭水化物=悪」という考えを捨てて、身体と脳のパフォーマンスを最大化するために炭水化物を正しく取り入れていくましょう。