栄養の基礎

脂質の真実:まだ“悪者“だと思ってる?間違いやすい脂質の理解と役割

脂質の真実:まだ“悪者”だと思ってる?本当に知ってほしい知識

脂質とは?知られざるその役割と重要性

「脂質は太る?」「脂質は健康に悪い」「なるべく避けた方がいい」

そんなイメージ、あなたの中にもありませんか?
確かに、一昔前まではテレビや雑誌で「低脂肪」が流行し、スーパーでは“脂質ゼロ”の食品がズラリと並びました。
でも、実はその考え方もう古いんです。
今は栄養学や医療の現場では、「脂質は体にとって必要不可欠な栄養素」というのが常識になっています。

この記事では、そんな“脂質“に関する誤解を解きながら解説していきます。

そもそも“脂質“とは?

脂質とは、炭水化物・タンパク質と並ぶ「三大栄養素」の1つです。
体にエネルギーを供給するために欠かせない栄養素です。

特に脂質は1gあたり9kcalという高いエネルギーを持ち、効率よく体を動かす燃料になります。
加えて、以下のような重要な働きを担っています。
・ホルモンの材料になる
・細胞膜や角膜を構成する
・内臓を守るクッションになる
・脳や神経の働きを支える
・脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける

つまり、脂質が不足すると、体の基本機能そのものが正常に働かなくなってしまうのです。

脂質はカットすべき?摂りすぎが悪いのでは?

「ダイエット中だから脂質はカット」という声をよく聞きます。

もちろん、極端な過剰摂取は体脂肪の増加や生活習慣病のリスクにつながります。
しかし、必要以上に脂質を避けることのほうが、むしろ健康を損なう危険性があります。

厚生労働省は1日の総摂取カロリーのうち、脂質の割合を20%〜30%にすることを推奨しています。
例:1日2000kcal摂取している人なら、脂質からのエネルギーは400〜600kcal(約45〜65g)程度が目安。

この基準を下回ると、ホルモンバランスが崩れたり、肌荒れ、集中力の低下などの症状が現れることもあります。

脂質の種類と正しい選び方:飽和脂肪酸vs不飽和脂肪酸

脂質に大きく分けて2種類あります
・飽和脂肪酸(肉の脂、バターなどに多い)
・不飽和脂肪酸(魚、オリーブオイル、ナッツ類など)

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いとは?

一般的には、「飽和脂肪酸=悪」「不飽和脂肪酸=良」とされています。
実際に、不飽和脂肪酸の一種である“オメガ3脂肪酸(EPAやDHA)“は炎症をおさえたり、血液をサラサラにする効果が期待できるとされています。

一方で「不飽和脂肪酸=完全な悪者」とは言い切れません。
適度に摂取することで、細胞膜を安定させたり、免疫機能を維持したりといった役割もあります。

結論としては、どちらかに偏るのではなく「バランスよく摂る」ことが大切なのです。

コレステロールは悪者じゃない?最新の科学的根拠

脂質と並んで悪者扱いされがちなのが“コレステロール”です。
「卵を食べるとコレステロールが上がって危険」といった話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

しかし、実はこの説も時代遅れ。
日本でもアメリカでも、2015年にコレステロールの摂取上限は撤廃されました。
なぜなのでしょうか?

食事由来のコレステロールは影響が少ない?

なぜなら、コレステロールの約80%は体内で合成されており、食事から摂取されるのはわずか20%ほどだからです。
つまり、食べ物で多少多く摂っても体が自動調整してくれる仕組みになっているのです。

しかも、コレステロールは細胞膜やホルモンの材料として不可欠な成分なんです。
「コレステロール=悪」という考えはもはや誤解だと言えるでしょう。

【驚きの事実】コレステロールが低い方が死亡率が高い?

さらに驚きなのが、コレステロールと死亡率の関係です。
1300万人以上を対象にした、日本の大規模研究によると、総コレステロール値が低すぎる人の方が、死亡率が高い傾向があるという結果が出ています。

特に総コレステロールが140mg/dL以下(理想は160〜199mg/dL)になると、心疾患や感染症でのリスクが上昇するというデータも出ています。

逆に、210〜230mg/dL程度の人が最も死亡率が低いという結果もあり、「高すぎるよりも低すぎる方が問題」というケースもあるのです。

卵は毎日食べても大丈夫?

卵1個には約210mgのコレステロールが含まれています。
これだけ聞くとやっぱり危ないのでは?と思うかもしれませんが、前述の通り、食事からのコレステロールが健康に直結するわけではありません。

むしろ、卵は良質なタンパク質やビタミン・ミネラルも豊富に含んだ“完全栄養食“として知られています。

なので、過度に避けるのではなく、適度に他の食品とバランスよく組み合わせて食べるのが理想です。

脂質と正しく付き合うための5つのポイント

「脂質=太る」「脂質=悪い」という時代はもう終わりです。
現代では脂質の重要性が見直され、健康を支えるために欠かせない栄養素として認識されています。

・脂質は体にとって必要不可欠なエネルギー源
・摂取割合はカロリーの20%〜30%が目安
・飽和・不飽和脂肪酸をバランスよく摂る
・コレステロールは必要な栄養。極端に避けなくて大丈夫
・卵は“完全栄養食“。積極的に取り入れよう
栄養に関する情報は、時代とともに変わっていきます。
古い情報にとらわれず、科学的な根拠に基づいて“脂質”と上手に付き合っていきましょう。

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bamoblog 柔道整復師 鍼灸師
1998年生まれ 東京都出身・東京→埼玉→東京育ち 【保有資格】鍼灸師・柔道整復師 【勤務経歴】 南池袋の手技特化の整骨院で8年勤務 池袋の運動療法特化の整骨院に転職 柔道整復師、鍼灸師として延べ1万人以上の背術経験を持つ。姿勢改善と根本改善を専門とし、身体の知識を深めている

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