座位時腰痛:なぜ痛いのか?
「座っていると腰が痛い」
「長時間のデスクワークで徐々に痛くなる」
臨床現場で、こういった訴えに出会ったことがある方も多いのではにのでしょうか?
腰痛の原因多岐にわたり、その中でも座位時に特有の痛みは、画像所見で明確な異常が見つからない“非特異的腰痛“として扱われることも少なくありません。
しかし、こういった症例は評価力と推論力が問われる場面でもあります。
症状の背景を論理的に整理し、可能性の高い原因を導くことができれば、介入の質は大きく変わります。
今回は座位時腰痛の代表的な3つの視点から整理します。
椎間板性腰痛:「座ると痛い」の代表格
まず知っておきたいのは、座位が椎間板に与える影響です。
ある研究では、椎間板内圧は寝ているときよりも、立っているときよりも座っている時が最も高いことが示されています。
なぜ座位で内圧が上がるのか?
座ると股関節は屈曲位となり、前のめりでモニターを見る姿勢が多くなります。
このとき、腰椎は軽度屈曲位になり、上位椎体が前方に回旋→椎間板前方が圧迫され、髄核が後方移動する力が働きます。
結果的に椎間内圧が上昇し、特に変性がある場合は痛みの原因になりやすいです。
さらに、加齢に伴い椎間板の感覚受容器が増えることがわかっています。
つまり、高齢者の座位時疼痛では椎間板変性の関与がより強くなる可能性があります。
評価のポイント
- MRIでの椎間板変性の有無
- 神経症状の有無(しびれ、感覚異常)
- 屈曲動作でのみ痛みが誘発されるかどうか
筋筋膜性腰痛:筋内圧と阻血の視点
長時間の座位では、腰背部の筋や筋膜も大きなストレスを受けます。
筋内圧と阻血
腰椎屈曲位が続くと、腰背部の筋は持続的な遠心性収縮(引き伸ばしながら力を発揮する)を強いられます。
これにより筋内圧が高まり、血流が悪くなり痛みが出ます。
特徴
- 痛みが広範囲に及ぶ
- 脊柱起立筋に圧痛がある
- 動かすと楽になる
胸腰筋膜の関与
胸腰筋膜は多裂筋や腹横筋などのローカル筋と連動し、腰椎の安定性をになっています。
しかし、長時間の屈曲姿勢で伸張ストレスを受けると肥厚し、滑走性が低下するのです。
結果として腰椎剛性の低下→椎間板など他組織への負担増加につながります。
臨床のヒント
- 触診で胸腰筋膜の硬さ・滑走性を確認
- 伸張ストレスで痛みが出るかどうかを評価
- 局所の循環改善(マッサージや鍼灸など)+姿勢改善指導が有効

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仙腸関節性腰痛:足を組むクセとの関係
座位時腰痛で意外と見落とされやすいのが仙腸関節の問題です。
足を組むことで起こること
仙腸関節は腸骨と仙骨が靱帯で強固に統合されています。
足を組むなど非対称な座位姿勢をとると、後方靱帯に過緊張が生じ、侵害受容器が刺激されます。
評価のサイン
- PSIS(上後腸骨棘)周囲に限局した圧痛
- 鼠蹊部痛を伴うこともある
- 座位でのみ誘発される痛み
スコア化や誘発テストを使えば、腰椎由来の痛みと鑑別したくなります。
※参考までに
座位時疼痛のまとめ
座位時疼痛は、椎間板・筋筋膜・仙腸関節といった複数の要因が絡むことが多いです。
そのため、「原因を1つに決めつけない」ことが重要です。
ただの腰痛と片付けられがちですが、負荷のかかる組織とメカニズムを理解して評価することで、原因の特定と効果的な介入が可能になります。
- 椎間板性→屈曲位・加齢で感受性増加
- 筋筋膜性→持続的な伸長負荷・阻血
- 仙腸関節性→非対称姿勢による靭帯の過緊張
これらを頭に入れて評価することで、非特異的腰痛の中からでも再現性のある改善が見込めます。

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