一過性スマホ失明とは?
2016年に発表されたある医学論文で、「スマホの使用が原因で一時的に視力を失う」という驚きの症例が報告されました。
登場したのは、30代の健康な女性。
夜になると突然、右目だけが見えなくなるという症状を繰り返し経験していたのです。
最初は脳梗塞の疑いで病院を受診し、MRIなどの精密検査を受けましたが、脳に異常は見つかりませんでした。
再度ヒアリングを行った結果、彼女が夜寝る前に、暗い寝室で左目を枕でふさぎ、右目だけでスマホを見ていたという習慣が判明したのです。
その結果、医師から下された診断は“一過性スマホ失明“でした。
なぜスマホで視力を一時的に失うのか?
この症状は医学的には「一過性単眼視覚障害」や「一過性視覚喪失」などと呼ばれますが、ネットでは「スマホ失明」という言葉で注目されました。
原因は、「暗順応」と呼ばれる網膜の調節機能にあります。
人間の目は、明るい場所から暗い場所に移ると、少しの間、何も見えなくなることがあります。
これは目が暗さに慣れるまでの正常な反応です。
この女性の場合、左目は暗闇(枕で覆われた状態)、右目はスマホの強い光を浴びているという左右の目に極端な光の差があったため、光を浴びていた右目だけが正常な暗順応をできず、一時的に視力が失われてしまったのです。
ただし、この状態は病気ではなく、数十分程度で自然に回復することが分かっています。
一過性スマホ失明を防ぐためにできること
一時的とはいえ、「片目が見えなくなる」という経験は非常に不安を感じるものです。
そこで、こうしたトラブルを未然に防ぐためのポイントをいくつかご紹介します。
- スマホは明るい環境で見る
寝室で電気を消したままスマホを使うのはNGです。
部屋の照明をつけた状態で使用するようにしましょう。 - スマホを目に近づけすぎない
至近距離で長時間スマホを見ると、網膜や視神経への負担が増えます。
最低でも30cm以上は離して使うように心がけましょう。 - 寝る前のスマホ使用は控える
そもそも、寝る直前のスマホ使用は、睡眠の質を大きく下げる原因になります。
ブルーライトの影響でメラトニンの分泌が抑制され、入眠が遅れたり、眠りが浅くなったりする可能性があります。
スマホとの付き合い方を見直そう
“スマホ失明“と呼ばれる一過性の視力障害は、使い方さえ気をつければ防げるものです。
寝室での使用や極端な暗所での操作は避け、適切な距離と明るさでスマホを使うことが、目の健康を守る第一歩となります。
一時的な症状だからといって油断せず、日常の習慣を見直して、目に優しいスマホライフを送りましょう。