栄養の基礎

【脂質=体脂肪じゃない】脂質は悪者じゃない!ホルモンや細胞を作る重要な栄養素と健康効果

脂質は「悪者」ではありません。

脂質は、実は身体の調子を整えるために不可欠な“必須栄養素“です。

「脂質は太るからカットすべき」と考えていませんか?
確かに、脂質は1gあたり9kcalと、炭水化物やタンパク質の2倍以上のカロリーを持ちます。
しかし、それは“高エネルギーで効率がいい“という話であって、「太る=脂質のせい」とは限らないのです。

実際には、脂質は人間の身体にとって必要不可欠な栄養素です。
細胞膜の材料になったり、ホルモンの生成、体温の調整、脳や神経の機能にも関わっています。
むしろ、極端に脂質を減らすことでホルモンバランスが乱れたり、代謝が落ちたりする危険性の方が高いのです。

脂質は「細胞」「ホルモン」「神経」に欠かせない。

脂質の役割は、単なる「エネルギー源」だけではありません。
まず、わたしたちの身体を構成する細胞の膜(細胞膜)は「リン脂質」と呼ばれるものでできています。この膜がなければ、細胞は自分の中と外を区別できず、生命活動そのものが成り立ちません。
さらに脂質はホルモンの原料でもあります。
たとえば、女性ホルモン(エストロゲン)や男性ホルモン(テストステロン)は、どちらもコレステロールからできています。脂質を避けすぎると、これらのホルモンの分泌が減って、月経不順や不妊、性欲減退、筋肉量の低下といった問題を引き起こすことがあります。

また、脂質は脳の材料にもなっています。
脳の約6割は脂質で構成されているといわれ、神経伝達や思考、記憶にも深く関係しています。
特に有名なのがオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)ですね。これらは青魚などに含まれ、炎症を抑えたり、うつ病予防、脳機能の維持などに効果的だとされています。

加えて、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は脂質と一緒でないと身体に吸収されません。サラダにオイルをかけるのは単に味付けのためだけでなく、栄養の吸収効率を上げるためのものでもあるんです。

脂質不足で肌荒れ、生理不順、集中力低下・・・

脂質を「摂らなすぎ」が不調を招いているかもしれません。
ここで実際のケースを紹介しましょう。
たとえば、極端な食事制限をした女性が、「肌がガサガサした」「生理が止まった」といった悩みを抱えていることが多くあります。
よくよく話を聞いてみると、脂質を極端に制限していたというケースが少なくありません。

また、ダイエット目的で脂質を制限しすぎた男性がすごく疲れやすくなったという例もあります。これはテストステロンという筋肉合成に関わるホルモンの分泌が脂質不足で低下したことによって起こったのです。
他にも集中力が続かない、気分が沈む、記憶力が落ちた、、、という場合、もしかしたら脳や神経の“潤滑油”である脂質が足りていないのかもしれません。
こういった体の変化は「脂質=太る」という先入観から摂取量を抑えすぎた結果起こっている可能性が高いのです。

脂質は「摂らない」ではなく「選んで摂る」時代へ。

健康のために“良い脂“を味方にしよう。
脂質は確かに高カロリーです。
しかしその分少量で高いエネルギー効率を持ち、ホルモン・細胞・脳神経などの構成にも不可欠な栄養素です。
大切なのは「すべての脂質を避ける」ことではなく、「どんな脂質を摂るか」を選ぶこと。
たとえばトランス脂肪酸(マーガリンや加工食品に多い)は身体に悪影響がありますが、オリーブオイル、アボカド、ナッツ、青魚に含まれる脂質は健康に良い効果をもたらすと言われています。
脂質は悪者ではありません。
むしろ正しく選べば“最強の味方”になってくれる栄養素なのです。

【関連記事】
脂質についてもっと知りたい方はこちらも↓
脂質の真実:まだ“悪者“だと思ってる?間違いやすい脂質の理解と役割

投稿者アバター
bamoblog 柔道整復師 鍼灸師
1998年生まれ 東京都出身・東京→埼玉→東京育ち 【保有資格】鍼灸師・柔道整復師 【勤務経歴】 南池袋の手技特化の整骨院で8年勤務 池袋の運動療法特化の整骨院に転職 柔道整復師、鍼灸師として延べ1万人以上の背術経験を持つ。姿勢改善と根本改善を専門とし、身体の知識を深めている

-栄養の基礎
-,